こころ遊多加な介護へ

暮らしといのち

#books・作品

【作品】桜が見えていますか

「桜が見えていますか?」 豊田久乃 越してきた向かいの山は、昭和を代表する演歌歌手が眠ることで知られる広大な墓地。地元では桜の名所として名高く、あたたかくなると山全体が花開くかのように、だんだん薄ピンクに色づいていく。明るい窓際に座ってその…

こころより感謝を込めて

冬至です。 少し早い年末のお休みに入ります。 今年は15年に渡る介護が終わった区切りの年でした。 夏至も秋分も本当にドラマチックな出来事でした。 父と母の最期の季節も幸せにできました。 親戚や近隣及び社会のあらゆる関係者にも 実害が及ぶことなく 全…

【本】最後のひと

「最後のひと」 松井久子著 中央公論社 1600円+税 帯より 「75歳になって、86歳の人を好きになって、何が悪いの?」 新聞の広告欄に書いてあった 帯の言葉がたまたま目に留まり タイトルも気になって買ってみた。 ちょっと想像したことのなかった世界なので …

介護ありがとう

介護中の人は皆 どれだけ尽くしても 本人からは 反応なかったり逆にののしられたり。 まわりの人からは 無神経無関心な態度や非協力や ひどいときにはDVや差別的な状況に置かれたり。 ここのブログではその体験談を 連面と綴ってきました。 日々心身ともに疲…

【本】ネガティブ・ケイパビリティ

「ネガティブ・ケイパビリティ」 ~答えの出ない事態に耐える力~ 帚木蓬生 朝日選書 1300円+税 我々の側では割と基本のこの考え方が 最近スポットを浴びているのだという。 「閉鎖病棟」「風花病棟」等小説も数多く 執筆されている精神科医帚木先生の一冊。…

【本】「過剰可視化社会」

「過剰可視化社会」與那覇潤 PHP新書 まえがきより============== なんらかの「答えを出す」タイプのポジティブ(積極的)な能力は、その存在を具体的な結果や実績、保有者のプロフィールなどで目に見える形にしやすい。しかし「なにが正解なのかわからない…

石原慎太郎氏

文藝春秋4月号には 亡くなった石原慎太郎氏の 絶筆全文が掲載されていた。 余命宣告を聞いてから こんな風に受け止めていたのかと息をのむ。 たくさんのイメージが広がる中で 自身の終焉に向かう言葉に いつもとは違う含みが とても多く思えたのは私の想像だ…

【本】ボクはやっと認知症のことがわかった

「ボクはやっと認知症のことがわかった」 長谷川和夫 猪熊律子 著 KADOKAWA 長谷川式スケール開発者の 長谷川和夫先生の新刊。 認知症を学び 長谷川式スケールを開発し 数え切れない患者を診て 痴呆を認知症に呼び変えて ついに自分でそのすべてを体験し 自…

【本】80歳の壁

「80歳の壁」 和田秀樹 幻冬舎新書 和田秀樹先生の新刊です。 老人医療を専門とされる先生の 80歳以降のからだと心 生き方在り方医療とのつきあい方 など 介護に今すぐ役に立つ情報がたくさん。 どこかシニカルで毒の多い言い回しの方だが (そこが好きなん…

【本】人はどう死ぬのか

「人はどう死ぬのか」 久坂部羊著 講談社現代新書 ネットで品切れでも店頭にありました。 なんかこの頃の書店って 看取りとか死に方とか相続の 本ばっかり異様な数が並んでる。 多死社会に向けてかしら? この本は在宅で穏やかに死を迎えるために 何をどう準…

【作品】「街の記憶」

※この作品は本名にて一般配布しています。 「街の記憶」 豊田恵子 見ず知らずの方とつながりができた私は、初めて家を訪れた。長年一人暮らしを続ける八〇歳の彼女は私を見てもよそよそしく知らんぷり。 それまで私は、寝たきりの父を抱えながら恩返しする方…

社会からの評価

私が父と母にやってきたこと 考えたこと 判断してきたことが 社会の中ではどんなもんなんだろうかと ジャッジを問いたい思いもあった。 親にしてきたことを他人にしてきた結果が出た。 どうやら間違ってなかったみたい。 賞状をもらうのは何十年ぶりだろう。…

【本】死にゆく人の心に寄りそう

「死にゆく人の心に寄りそう」医療と宗教の間のケア 玉置妙憂 著 光文社新書 看護師であり僧侶である著者による 終末期の心得が細やかに書かれた一冊。 2年くらい前に買ってからずっと読み返している。 ただタイトルをここで表示することに ためらいがあって…

オキシトシン

「経済は競争では反映しない」 ポール・J・ザック著 ダイヤモンド社 副題には 「経済を繁栄に導くものは信頼だった!」 とある2013年出版の一冊。 神経経済学を提唱した著者によるものだが オキシトシンと心理学を中心に書かれていて 発売当時はただ馴染みあ…

【リンク】落合恵子さんの介護

作家落合恵子さんの記事。 → 認知症の母を介護した7年間 - Yahoo!ニュース この方の小説やエッセイは 一時期徹底的に読み漁った。 80年代の男女共同参画が始まる前後には 講演会にもせっせと通った。 FMN(当時主宰していた勉強会)はもちろん 以降の生き方…

介護者のこころ

キューブラー・ロスは 末期疾患の受容プロセスとして 1否認 2怒り 3取り引き 4抑鬱 5受容 をあげていてこれは映画のテーマにも なるほど有名な説。 また最近では精神科医が 心の成長プロセスと同じだと述べている方も 見受けられる。 自分を振り返っても 順…

生きるということは

介護の現実に追われていると 「今自分が何をしているのか」 という全体像を見失う。 目の前の小さなことにとらわれて トンネリングを起こすのだ。 本を整理していてふと手に取った 「それでも人生にイエスという」フランクル を再び読み返している。 生きる…

おじいさんとおばあさん

ある芸人さんが番組のコメントで 「おじいさんとおばあさんが 集まったりパーティやったりしてる」 と言っていたのが印象的だった。 私はそういう人の認知症を心配している。 ジッとしていられない人や 「オレは悪くない!」って頑なに行動を変えない人は 前…

人を想う

「人を想う」 その力をこの頃実感しています。 男同士の物語というのは どれだけ小説を読んでも女の自分には 完全に理解するのは難しいのだけれど そんな中で素晴らしい作品を見つけました。 親世代の男性たちは 寡黙で思ったことを軽々しくは口にしない。 …

【動画】親との和解

精神科医樺沢紫苑先生の動画です。 愛してくれなかった親を捨てると 公言する人や本はけっこうある。 例えば先日の記事:青木さやかさん 家族って学びの場だから そこをクリアしていくことこそ このメンバーの中に生まれた意味だし 心が成長する場でありテー…

【リンク】降りてゆく生き方

映画「降りてゆく生き方」は見ていないのですが たまたまめぐり合ったブログで 心揺さぶられる言葉を見つけたので 勝手ながら引用させていただきます。 blog.livedoor.jp 上記ブログより引用============= それらの言葉から、競争社会における人を競争の道具…

シュレーディンガーの猫

その人にとって真の幸福とは何か というテーマを突き付けられることが 増えてきた。 それは父や母の暮らしを作り替えるたびに 考えつくしたことでもあるが 場所が変わればテーマも変わる。 環境や条件がほんの少し変わるだけで 結果は大きく異なっていく。 …

トンネルを抜ける

トンネリング(視野狭窄)という言葉がある。 『いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学(早川書房)』に詳しく書かれている。 一つのことにとらわれるあまり 全体が見えなくなってしまうこと。 「(自分だけが)忙しい」という理由で 約束を軽々…

もう生きられないと思うあなたに

長文です。どうか静かな場所でゆっくり読んでください。 「 もう生きられないと思うあなたに 」 豊田久乃 この世に救いはないと感じて絶望しているとき、この世に味方が一人もいないと思ってしまうのはあなたのせいではありません。 その答えを見つける鍵は…

【本】やさしくなれる認知症の在宅介護

「やさしくなれる認知症の在宅介護」 板東邦秋 ワニブックスPLUS新書 880円+税 『神奈川県下の認知症クリニックとして 最多の認知症症例数を有する』 (プロフィールより)という 横浜市泉区ばんどうクリニック院長の著書。 認知症について 在宅介護のコツに…

じかんぐすり

若い頃の瀬戸内寂聴さんのエッセイで読んだ 「じかんぐすり」という言葉。 大切な人を亡くして生きるのがつらいという お悩みにこたえるかたちで 「時間が必ず解決してくれます」とあったのを 今でも印象的に覚えている。 その時は自分にかけられた言葉のよ…

【本】「運気を磨く」

『幸運は「不運な出来事」の姿をして、やってくる』 「運気を磨く~心を浄化する三つの技法」 田坂広志 光文社新書 より 声が聞こえてくる本がある。 著者が隣でつぶやいているかのように語りかけてくる本。 田坂広志さんの本はそういう本だ。 科学者として…

【映画】おらおらでひとりいぐも

高齢者と話したり資料によってその生きざまに触れるたび 一人一人ものすごくドラマチックで 個性的な人生を生きてきていることを実感する。 戦後の混乱期をあの手この手で 生き抜いてきたドラマを抱えている。 だから高齢者は強くて魅力的なんだと思う。 芥…

【動画】親を病院連れて行くには

もしや認知症なのではという段階で 病院に連れて行くのは大変なこと。 本人は否定するし無理には連れていけないし 仕方がない少し様子をみるかと 伸ばし伸ばしになって症状を悪化させたりしがち。 本当は早期発見こそが大事なんだけどな。 うちの場合は 「よ…

【本】9割のひざの痛みは自分で治せる

引越で痛めたヒザが このところの運動不足で 何もしなくても痛むように。 ところが不思議なもので うっかりバスを乗り損ねて 30分かけて歩いたりすると 気付いたら痛みが消えている。 さらにストレッチと軽めのスクワットで さらに楽になる。 その理由は 骨…