介護の意味のひとつは
生老病死そのものの姿を見つめること。
かつて自分が幼かったころは
親だけが全世界だったはずが
次第に並び いつしか追い越し離れて暮らし
やがて再び戻って来ては
日に日に小さくなっていく親を
守る側に立っている。
病院での最後の数か月
母は枯れ木のようにやせ細って
点滴一本でいのちをつないでいた。
それでも目を開ければ
私の言葉に反応するし
何が言いたいのかも分かった。
この姿をちゃんと目に焼き付けることにこそ
大きな意味があるんだな
まるでお釈迦様の最後みたいだと
思いながら私は毎日病院に向かっていた。