母が50歳くらいの頃
実家の三和土で割れたガラスを踏んづけて
動けなくなっていたことがあった。
たまたま高校から帰ってきた自分が見つけて
あわてて母を病院に連れて行ったらしい。
らしいというのは
私は20歳以前の記憶がほとんどなくて
その日のことも後に母にくり返し言われて
そうだったかしら・・・と
三和土でうずくまっていた母の姿を
ほんのり思い出したくらい。
何から何まで否定してくる母が
唯一 後々までほめ続けたのが
この件だけだった。
今になって思い返すと
私が誰かのために生きることに
並々ならぬ思いがあるのは
たった一度だけ母に認められた
この出来事がきっかけなのかもしれない。