母が亡くなった直後からずっと
人の対応と事務処理と父の介護に追われ
泣くひまなんてなかった。
先日「今年は彼岸の墓参りも
無理かな」と考えていたら
身体の奥底に押さえ込んでいた悲しみが
突然全身から涙となって吹き出した。
もう戻らないんだな。
握りしめていた記憶も
サラサラと指のすき間からこぼれて
風に消えて行ってしまう。
母の声も 髪のにおいも 何もかも
どんどん遠く 薄く 小さくなっていく。
本当にもう会えないんだな。
もう戻れないんだな。
まだどこかにいるような気がしているのに
もうどこにもいないんだな。
疲れ果てるまで泣いた。
これでやっと
母と私の長い長い歴史に一区切り。