こころ遊多加な介護へ

暮らしといのち

ずっと待っていた

ずっと待っていたんだ。

私だけではなく 母が。

 

ドラマ「俺の家の話」第五話

桐谷健太さん演じる寿限無のセリフ

「ずーっと待っていたんだよ!!」になぜか号泣。

その理由をずっと考えていた。

 

待っていたんだ。

私も母も。

このドラマのように長男が戻ってくるのを。

家族の中心となってくれることを。

 

若い頃の母は長男を溺愛し私を嫌った。

長男が結婚して出て行った後

母は精神をさらに崩して私に執拗に当たった。

私も心を病みかけて一度は出ていくはめに。

 

自分で動けない母はさらに

病の底に沈みこんでいくしかなかった。

父や私に当たり散らすしかなかった。

それでも長男は戻らない。

私が戻るしかなかった。

 

母が認知症で入院してからは

年に数回顔を出す程度の長男を

母は苛立ちの目でにらむようになった。

あれほど求めていた長男を憎むほどになり

あれほど嫌った私に頼るしかなかった母。

 

無念だっただろう。

それでもずっと待っていた母。

 

私は母の意識と同化していたから

なぜこんなに怒りを抱え続けるのか

「私」の意識では理解できなかった。

 

これは母の怒りであり哀しみだったんだ。 

 

思えば20代 母に結婚を潰された。

もう子どもに見捨てられたくなかったんだろう。

長男が出ていかなければ寿限無のように

「別の人生もあった」かもしれなかった。

 

このところやっと母の念が薄くなり

私の心も軽くなってきた。

 

長男はまもなく卒業。

父の介護はたぶんもうすぐ終わる。

 

舞さんの「親の介護も人生だ」ってセリフは

今ならおおいにうなづける。 

 

フィクションではない「私の家の話」は

寿限無のように現実を引き受ける闘いだった。

少なくとも父母と長男の人生は守った。

ミッションはクリアした。

 

そろそろ母も穏やかに眠れるといいな。

 

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