母の関係念慮は
目に入った人の一挙手一投足を
過去の記憶のどれかに結び付けて
あの人が言ったからだ とか
あのときもこうだったからこれよ
みたいに無尽蔵につながって広がっていく。
そして関係ないのに記憶を掘り起こして
怒ったり愚痴ったり。
全部が関わっている世界。
なのでお店を選ぶにしても
なかなか決まらないのだけれど
一度信じてしまえばとことん信じるので
やたらその店にお金を落とす。
高齢になってから母が見つけたパーマ屋さんは
なんとか歩いていける距離で
同じくらいの年齢の女性が経営していることもあり
母は足しげく通っていた。
そしてシャンプーやら何やらをいつも買ってきていた。
美容院で買うとエライ高いやつばかり。
まるで認知症の初期のように
同じものをどんどん買いだめして
せっせとまわりに配ったり。
もうそんな記憶も15年くらい前になった。