ある団地に通っていたときのこと。
いつも同じ場所に立っている高齢男性がいた。
私がいつも同じくらいの時間帯に
通るからなのか
それともその人がずっとそこにいるのかは
分からないが
顔を見てあいさつするのが日課のようになった。
私のことを覚えてくれたのかと思いきや
どうやら認知症の方のようだった。
いつも穏やかでニコニコで
ときには一言ふたこと話したりできるのが
だんだん楽しみになっていった。
たまに顔が見えないときは心配にもなった。
もう行く機会がなくなって久しいが
いまでもあの道を通ったら
ニコニコと昨日も会ったような顔で
あいさつしてくれるだろうか。