という呪文を誰かがきっと唱えたに違いない。
そう思うほどにどういうわけか
父の体調は薄膜を一枚ずつ剥がすかのように
日に日に良くなってきている。
初回は訪看さんが来ても起きられず
皆がもはやこれまでかと見守り
寝たまま洗髪してもらったほどだったのに
今では食欲も出て顔色も良く
訪看さんと楽しそうに話ができて
認知機能低下予防の「間違い探し」などを
一緒にやったりするほどに。
この不思議な回復はなんだろう。
まるで憑りついていた何かが
スッと消えたかのようで
これはまさに落語「死神」の
例のシーンではないか。
大店の主人が寝込み回復の見込みがない。
死神にとりつかれた偽医者が
番頭に懇願され治療に赴く。
偽医者だけに見えるのは主人の足元に座る死神。
呪文を唱えると死神は消え主人は嘘のように回復。
そしてパンパンと二度手を打つ。
そういえば部屋の「気」も変わってる。
仏壇を引っ込めたり
神棚を飾ったり
部屋のレイアウトを変えたり
食事の質を良くしたり と
できることは全部やっているので
呪文以上に効果があるのかもしれない。