古典落語の「死神」の中では
いのちがろうそくの灯として燃えていて
ろうそくの長さが寿命と表現されている。
老いて病の床にある者は短く
生まれて間もない赤ん坊は長い。
何度聴いても
よいたとえだなぁと思う。
洞窟の中に広がるろうそくの海が
ありありと目に浮かんでくる。
その人の醸し出す生命体としての
エネルギーというのは確かにあって
必ずしも年齢とはリンクしていない気がする。
先日目覚ましが鳴り続けても起きない父を
起こしに行ったとき
床の中から振り向いた顔が
見たこともないほど年老いていた。
「ああだいぶ短くなったんだな」
と心の中で腹をくくる。