十数年前のこと。
ある先輩のお父様が亡くなった。
半年以上たってからお会いしてもまだ
抜け殻のような放心状態。
当時その方はもう定年も見えてきた年齢で
子供もすでに独立し
会社の中では確固たるポジション。
社会的に立派な方が
老いた父親の死にこんなにも動揺するのか。
父親という存在がどれほど大きかったかを
失って実感したという話が長いこと続いた。
「男性と父親」は
小説や映画をいくら観ても
女の私にはどうしても理解できない温度がある。
その方のあまりの衝撃に
私も長いこと驚いていた。