実家処分を急ピッチで進める中
台所の蛍光灯が外せずに苛立つ。
「ええい時間がないのだ!」と私は
通電中の電源コードをハサミで切ることに。
コードを持ち大きなハサミを入れて
いざ!というそのとき
ふと耳元で誰かの声が
聞こえた気がして手が止まる。
シーンと静けさが通り抜ける。
「あ これ切っちゃダメなんだっけ」
まるで数分間が巻き戻ったかのように作業再開。
やむなくコードをつけたまま外したら
ブレイカーが派手に落ちた。
引越が済んで落ち着いた頃に
「あれは瀬戸際だったのではないか」
と思い出し青ざめる。
ハサミを入れたら感電しているし
火災になっていたかもしれない。
あのときふと聞こえた「声」のおかげで今がある。
数少ない不思議体験の一つ。