前を歩いていた年配女性が急に立ち止まり
うっかり足がぶつかってしまった。
「いたーい!」
その女性が声をあげる。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?痛みますか?」
と言う私の顔を見て
それまでいら立っていた表情がすうっと穏やかになって
「あら ごめんなさい。大きな声をあげたりして」
引き続き大丈夫ですかと様子を聞いたら
靴底のゴムにつっかかったようで
足には当たっていなかった模様。
にっこり笑って別れたのだが
あの表情の変化が印象的だった。
自分の態度を省みれるほど知性がある方なのに
ぶつかってもいないのに痛い痛いと
大げさに声を上げないといけないような
さみしい心の状態にあるのかな と。