「風花病棟」
帚木蓬生著 新潮文庫
合わせて買った同じ作家の一冊。
「風花病棟」は短編集でいずれも
医師の立場から患者を描き
向き合い方に迷い これでよかったのかと考え続ける。
普段私が患者側として出会う先生方は
「絶対的な正解」であり
心の揺れに触れることはない。
それだけに読後は
こんなにも医師の心の中では
迷いや痛み 細やかな思いやりが
穏やかだが厚みのある波のように
うねり続けているものなのかと胸が震えた。
病と生と死をまっすぐ描いているため
重さもある分 読後の充実度も大きい。
「迷いの量は他人へのあたたかさ」
と信じられる一冊。