こころ遊多加な介護へ

暮らしといのち

【本】風花病棟

「風花病棟」

帚木蓬生著 新潮文庫

 

まもなく映画公開の「閉鎖病棟」(新潮文庫 670円+税)と

合わせて買った同じ作家の一冊。

著者は精神科医でもあり数々の文学賞を受賞。

 

「風花病棟」は短編集でいずれも

医師の立場から患者を描き

向き合い方に迷い これでよかったのかと考え続ける。

 

普段私が患者側として出会う先生方は

「絶対的な正解」であり

心の揺れに触れることはない。

 

それだけに読後は

こんなにも医師の心の中では

迷いや痛み 細やかな思いやりが

穏やかだが厚みのある波のように

うねり続けているものなのかと胸が震えた。

 

病と生と死をまっすぐ描いているため

重さもある分 読後の充実度も大きい。

 

「迷いの量は他人へのあたたかさ」

と信じられる一冊。