母のアルツハイマー発症は
決定的な何かがあったわけではありませんでした。
もともと統合失調症があったので
妄想・幻覚は日常茶飯事で
ハイハイと聞き流すのが家族の流儀でした。
「かばんがない」「スカートの色が変わった」
「おいてある場所が違う」「かたちが前のじゃない」
小さな変化はエスカレートするようになりました。
自分の記憶と違う現実に怯えて怒り
探し回る行為はやがて父への暴力へ。
当時週に数回実家に通っていた私は
行くたびにどこかけがをしている父を見て
いよいよまずいと思うようになったのでした。