「イル・ポスティーノ」
自分が20代の頃 ずっと年上の友から
「とにかくこの映画を見ろ」と
渡されたビデオテープ。
亡命中の詩人宅に通う若き郵便配達員が
詩人との会話を重ねる中で
心を開き ゆたかさを理解し
芸術や恋人との愛に気付いていく。
若者の心の成長を描いた
一枚の絵のように美しく穏やかな作品。
老いていくということは
こんなふうに強烈な孤独と
あらゆるものを理解している知性なのか。
未知の世界をむさぼり光り輝く若者と
老いていく孤独な詩人の対比のような
ストーリーだったようなぼんやりした記憶。
友がこの映画を見せて伝えたかったことが
今頃になってやっと少しだけ
分かったような気がしてせつない。