こころ遊多加な介護へ

暮らしといのち

みかんおすそわけ

用事があって介護事業所まで行くときは

ご本人宅からバス停三つくらいだけど

乗り換えが面倒なのでいつも歩く。

 

途中にある八百屋さんがいつも気になっていた。

 

今日は本人宅だけなのだが

少し早く着いたので

八百屋さんに行ってみる。

 

腰の曲がったおじいさんが

「らっしゃい。みかん甘いよ」

産地が違うのか理由は不明だが

350円、500円、500円と

段ボール板にマジックで殴り書き。

 

500円のにしようかな

こっちの500円の方がいいかな

と迷っていたら

「これも甘いよ」と350円も勧めてくる。

 

そんなことより

おじいさんの腰が痛そう過ぎてつらい。

 

500円の袋を抱えて1000円札を渡そうとしたとき

奥にちょっと多めに入った1000円の袋が見える。

 

みかんの粒サイズ的にはこっちが好きだ。

 

それよりも

なんかおつりとか袋とか取りに行かせるのがもう

気が引けてしまいお見舞いの気持ちも込めて

1000円のみかんを抱えて

「こっちにするわ。このまま持って行っていい?」

と1000円札を渡す。

「ああいいよ」とそっけないおじいさん。笑

 

本人宅で

「みかんいっぱい買ったの。半分もらってくれる?」というと

「あそこの八百屋行ったの?」

「あっちから来たの!」と盛り上がる。

いつもなら遠慮する人なのに

みかんが大好きなようで

喜んで受け取ってくれる。

まるで実家に来たみたい。

しかも「ちょっと食べてみよう」とすぐむき始めた。笑

 

「すごい甘いって言ってたよ。どう?」

「うーん 甘いけどちょっとすっぱい」

「少し置いておけば甘くなるかもね」

と笑い合う。

 

おすそ分けできる量があってよかった。

千両みかんならぬ千円みかんのお話。

 

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