もう壊してしまった実家の造りは
昭和の新興住宅街の流行り。
1階の床板をはがすと土が見えるシンプルなもので
夏は涼しいが冬は底冷えがひどかった。
10数年前だろうか まだ母も元気だったころ
床下が何やら騒がしくなった。
ドタバタドタバタと走り回る足音が響く。
外に出て格子のはまった風抜きからのぞき込むと
小さな顔がいくつか見えた。
猫だー!
母と二人で「はてどうしたものか」と
考え込んだが手の打ちようもない。
追い出すつもりもないが
餌をやったりもしない。
あれこれ母と対策を考えたが
いつの間にか足音は消え
のぞき込んでも姿は見えなくなっていた。
住宅街で生まれた猫は
どこでどうやって生きていくのかしらね。
母といろいろ話し合った時間を思い出す。