施設にいる高齢女性からメール。
頻繁に届くのだけれど
内容は毎回別のURLで
しかもよく分からないページに飛ぶ。
感染してるのかなって思ってた。
でもふと想像してみる。
夫は早くに他界
長男夫婦はノータッチ
同居の次男は独り者で仕事中。
誰も面会にすら来ないんだろう。
その不安やさみしさを想像して
返信するとき電話番号も書いておいた。
案の定すぐ電話がかかる。
麻痺があるのでうまくしゃべれないのに
一生懸命何かを訴えている。
「会いたいね」
「顔見に来て」
沈黙の間に聞こえる施設の音は
思いのほか静かで
そばに誰もいないのかもしれない。
それとももしかして
泣いているのかな
と思ったりする。
高齢者が突然連絡してきて
「会いに来て」という場合
たぶん最後のチャンスになる。
叔父が最後に
「会いに来て」と言ったとき
応えられなかったことを後悔している。
とてもとても遠い施設だけど
行ってみようかしらと心が揺れる。