まだ私が小学校に上がる前だったと思う。
家族で母の実家へ。
私とじいちゃんは二人で駅前の小さなスーパーへ。
個人商店が「スーパー」と名付けているくらいの
店だったような覚えがある。
私の好きなものを買ってもらって
とてもうれしかった記憶。
じいちゃんと手をつないで戻り
母や祖母が我々の買ってきたものを
袋から出してテーブルへ。
母が何かをつかんで声を上げる。
「パンがカビてる!」
ええー?と思ってみてみたら
私とじいちゃんが選んだ
「干しブドウ入り蒸しパン」だった。
だが私はまだ幼すぎて
じいちゃんは年をとりすぎていて
ブドウに見えたその黒い大きな点々が
まさかカビだなんて気が付かなかったのだった。