こころ遊多加な介護へ

暮らしといのち

透明人間

認知症介護で一番つらいのは

「自分が相手から見えていないこと」

自分が透明人間になってしまったようで

毎日悲しいという記述を見かけた。

 

荻原浩さんの小説「明日の記憶」でも

若年性認知症の主人公が

日ごと妻を忘れていく症状と

妻の心の痛みがていねいに描かれている。

 

母はアルツハイマーになっても

私の顔を忘れることはなかったが

自閉症の父の態度はひどくて

目の前で誰が何をしても視界に入らない。

 

透明な壁で自らを取り囲み

他人のいない世界の父と結婚して

すぐに母がさみしさのあまり

こころを病んでしまったのは

当然だったのかもしれない。