「平場の月」朝倉かすみ
光文社 1600円+税
介護とはちょっと離れているが
とある病気について詳細に描かれている作品。
大人の恋愛と複雑な事情を描いていると聞いて読んだが
どちらかというと私は
「もう自分たちの年齢にも死は迫っているんだな」
というリアリティを感じた。
なるべく人に迷惑をかけずに死にゆくことが
私自身も理想としている中で
「そうでもないことがあるのか!」
「そうじゃない人がいるのか!」
という驚きもあった。
お釈迦様のようにその姿を見せ続けることに
大いなる意味を持たせるということも
人生の最後に人はできるのかもしれない。
その「叶わなかった行き場のない想い」が
読後に残りさまよったまま。