「キッドナッパーズ」
門井慶喜著 文春文庫 700円+税
以前月刊文芸春秋に掲載されていた作品が
短編集として文庫化されたので
くり返し読んでいる。
直木賞作家は何といっても文章が美しく読みやすい。
この作品はネタバレしたくないので
内容には言及しづらいのだけれど
くり返し読んでふと気が付いたのは
「心が触れ合うことができる人ばかりじゃない」ってこと。
自分がそうできないことを知っているということも
とてもつらく悲しいことなのかもしれない と。
私は長いこと
「どうしてそんなに人の心に無関心なんだろう」
と思うことが多い世界にいた。
今 全く逆のあたたかい人たちばかりの中にいると
どう頑張っても他人の心にアクセスできない人は
確実にいるんだなということに気が付く。