ご飯はずっと土鍋。
これも物持ちが良い証しで
25年くらいになる。
浅草の骨董市で見つけたもので
かなり良い品なのに破格値。
なぜならふたの美しい塗りのはじっこに
指が滑った跡があるから。
さあ完成という段階でお弟子さんが
うっかり触ってしまったのだろう。
「あっ!」という声が聞こえてきそうで
今でもご飯を炊くたびに
指の跡を愛でている。
その頃集めた抹茶椀や湯呑みや花瓶は
せっせと母にプレゼントしたのだが
母はもったいないと仕舞い込んで使うことなく
結局私の手元に箱ごと戻ってきてしまった。