少し前の読売新聞の対談。
久田恵さんと篠田節子さん。
二人で長年の介護経験を語り合う紙面。
「お母さまが『ありがとう』って言うんですか?」
久田恵さんのお母様が
娘の介護にありがとうとくり返したという話。
篠田節子さんはそのことに驚いて聞き返し
少し残念そうに
「それぞれ介護のかたちって異なりますね」と結んだ。
篠田節子さんは20年の介護の中で
ありがとうって言葉を聞けなかったんだな。
ありがとうって言われるなら
介護者はどれだけむくわれて
こころは楽になるだろう。
病が重くて介護が大変であればあるほど
その言葉こそが救いなのに。
父はときどきボソッと言うようになったけど
母は最初から最後まで一言もなかった。
親戚なぞ何をかいわんや。
時間ができてぼんやり考えるようになった最近
ふと浮かび上がってきた言葉は
「ありがとうって、言われたかったな」
・・・毎日毎日こんなに大変なことを
ずっとそばにいて
ていねいに何もかもやってくれて
本当にありがとうね。
私や家族みんなの代わりに
家のことから近所や親戚付き合いまで
何から何まできちんとしてくれてありがとう。
あなたがいてくれてよかった。・・・
って
一度でいいから言われてみたかったな。