夜中の電話で飛び起きて
母のいる病院に向かう。
いつもは解放されている病棟だが
どこも閉まっていて入れない。
かかってきた電話番号に電話をかけると
別の担当がとったらしく話が通じない。
「病棟が開かないんです。電話もらったんです。
すぐ入りたいんですけど」
ハラハラしながら入り口で父と待つ。
事情を分かっているらしい方が
あわてて開けに来てくれた。
しばらくして院長から説明を聞く。
「00時04分に心電図が平らになって・・・」
長い説明だったが私の意識は
すでに違うところにあった。
だって私たちはその時間
とっくに着いていたのに。
電話の発信時間は
それよりずっと前なのに。
最後まで母をひとりぼっちで逝かせてしまって
本当にすまなかった。
あのタイムロスを
どうすればよかったんだろうかと
いまだにくり返し考える。