母が介護認定を受けたのは
入院した急性期病院の中だった。
退院を急かされていたものの
行き先も決まっていなかったので
あちこち訪ね歩いて老健を見つける。
当然介護認定が必要となり
あわてて申請して認定員の方に
わざわざ遠くの病院まで来てもらった。
その日のことははっきり覚えている。
誰もいない広い待合室に
ぽつんと座っていた年配の女性。
この人に間違いないと思って
私から声をかけ一緒に閉鎖病棟に入った。
狭い談話室で母が騒がないように
神経をとがらせながら
冷や冷やして立ち会ったのを覚えている。
この頃の記憶がやけに鮮明なのは
「恐怖」とセットになっているからなんだな。
偏桃体の過剰反応が
緻密な記憶を忘れさせない。
そしてその記憶は皮肉にも
今 現実の中で役立っている。
逆に当時 今の知識と経験値があれば
もっといい方法があったのになと
思わないでもない。