思い返せば
介護に入ってからの10年は
まわりが一切見えなくて
目の前のことでいっぱいいっぱいだった。
視野狭窄(トンネリング)を起こしていたんだな。
脳は基本的にマルチタスクができないから
そういう状態で手を広げると全部だめになる。
事件が起きてしまうのはそのためだ。
できるだけ情報遮断して
ひとつのことに集中するのが良いと
無意識で分かっていたんだろうと思う。
だからこそあの驚異的な集中力で
二人の介護をやってのけたんだし
実家の処分や引越も一人でできたんだ。
最近になってそのことが見えてくる。
やっとトンネルから出たみたい。
すがすがしく美しい日常。
そして別の誰かのために生きられる喜び。
こんな日が来るとは実は思っていなかった。