若い頃の瀬戸内寂聴さんのエッセイで読んだ
「じかんぐすり」という言葉。
大切な人を亡くして生きるのがつらいという
お悩みにこたえるかたちで
「時間が必ず解決してくれます」とあったのを
今でも印象的に覚えている。
その時は自分にかけられた言葉のように
思えていたから。
近頃10年にわたる介護の日々を思い返している。
身一つで深海に飛び込むような決意
底が抜けたバケツで水を汲むような毎日
背中からバーナーで焼かれるような焦り
漆黒の闇に落ちてしまったような孤独
やがて
燃え尽きて灰になった自分
穏やかで何もない平穏
思い出せた明るい陽射し
そんな時間を経てきた。
忘れることはできないが
もうその場所にはいないんだな
ということははっきり分かる。
人のこころは思いのほか強い。
じかんぐすりは必ず効くようになっている。
折しも今日は浄化の満月。
そして新しい時代へ。