認知症でもみんな昔話は饒舌。
だから懐かしの話を聞き出すのは
とても楽しい。
何年も前になるが
施設にいる女性を訪問。
当時は手をさすりながら
話を聞くのは普通だった。
その女性の手が年齢のわりには
つるつるしていることに気付く。
「手がきれいね」というと
「むかしね、化粧品の訪問販売してたの」と。
そこからせきを切ったように話し始める。
その前は夫が戦争でいなくなってから
子連れで住み込みの仲居をしていたとか。
この世代の方々はそれぞれ
「手に職」の時代だから人生経験がゆたか。
そして必ず戦争がからんでる。
認知症とは思えないほど
よどみなく楽しげにどんどん話す様子は
聞いている自分まで楽しくなってくる。