「人は生まれた瞬間から死に向かって生きる」
パラドクスであると作品「最後の夜」の中で書いた。
その頃は死に向かうということがすごく悲劇的で
絶望が乗った言葉に思えていたけれど
今は全然考え方が変わっている。
老いも死も決して悪いことではなくて
誰にでも訪れるあたりまえの日常。
それならちゃんと準備をして用意をして
できるだけ思い残すことがないように
忘れ物を拾って歩くように
心の隙間を一つ一つ埋めていって
「ああ満足。幸せな人生だった」と
ニコニコと眠りにつける道を作ってあげられたらいい。
それを導いていく側でいられることもまた
幸せなことではないかとつくづく感じる毎日。