シロちゃんが口をあけている。
文鳥のくちばしが閉じないのは
いのちに関わる緊急事態である。
なんかやらかしたな。
朝の掃除は父が担当。
そのときにお米をやることがあるんだけと
シロちゃんは噛まずに丸飲みしてしまうので
必ずくだくかふやかしてと
父には再三伝えていた。
お米飲んじゃったんだな。
くだかなかったんだろう。
弱っていくシロちゃんを見ながら
大丈夫だよ~と
能天気にヘラヘラ笑っている父。
この父には前科がある。
まだ母と父だけで暮らしていた頃。
二人で飼っていた文鳥に
父は食べさせてはいけないものを与えてしまい
その子はいのちを落としてしまった。
母はのちのちまで嘆いていた。
こういった父のうかつな行動は
動けない最近こそ減ったものの
母が入院してからは解放されたかのように多発して
後始末に追われる日々だった。
目を離すと何をするか分からない。
言わなきゃ分からないが言っても従わない。
やらかしても反省しない。
自分の行動を改められない。
小言を言えば逆切れする。
背筋が凍る感覚を久々に思い出した。
シロちゃんにはいろいろ手当てをして
どうにか飲み込めてくちばしも閉じた。
だがショックのあまり
三日ほど声も出ず水浴びもできなかった。
私から離れなくなってしまった。
こわかったね。
もう大丈夫だよ。