終末期医療の本で読んだ記憶。
口から食事がとれなくなった場合
胃ろうをしますか?と医師に問われて
自然に任せたいので胃ろうはしません
と答えた家族。
ふと気になって
しないとどうなるんですかと質問すると
医師は「餓死します」と答えたんだとか。
びっくりした家族はあわてて
胃ろうをすることに変更したという。
その本では「餓死」って表現をする
医師の語彙力がまずい
とは書いてあったものの
現実にはそういうことらしい。
今 父が飲んでいる栄養剤のことを
医師は「ジュース」って呼んでくれているが
ボトルには「経口・経管両用」とある。
これは胃ろうにも使える栄養剤。
つまり父はすでに
胃ろうをしているようなもの。
かろうじて口からも食事をとれているが
そのカロリーは微々たるもので
この栄養剤以外はほぼ入らなくなってきた。
これってものすごくゆるやかに
餓死に向かっているんだろうなと思う。
日に日に痩せて身体の機能が一つ一つ抜け落ちていき
そのせいであちこち小さな不快も増えるが
まだまだ自分で室内は歩けるし風呂にも入れて
頭もまあまあしっかりしている。
薄皮を剥いでいくように
一枚 また一枚と
できることは少なくなり
生命力の輝きは小さくなっていく。
でもこれが「老衰」っていう
自然な老いの執着地なんだろう。