こころ遊多加な介護へ

暮らしといのち

しぼんでいく父の世界

人類の進化 ならぬ

人類の退化というか

日々老いて小さくなっていく姿を

父はマニュアル通りに

あますところなく見せてくれる。

 

人はどんな風に老いて死ぬのか。

それを見届けたくて続けている日々。

 

最近感じるのは

精神がしぼんできたこと。

 

もともと自閉で引きこもり。

とはいえかつては

一人でフラリと出ることもあったのが

まず外出ができなくなる。

 

それでもベランダで

花や野菜を作ることに精を出していたのが

プツリと興味を失い

今では水やりを忘れたり面倒がったり。

 

最後の砦である文鳥の世話。

これはかろうじて続けてはいるが

かつては父の手の中で水浴びをするのが

習慣だったけれど

いつのまにかできなくなって私に代わり

それを目を細めて眺めることさえなくなって

どこかぼんやり空を見つめる時間が増えた。

 

それでも認知症はまったくない。

まだまだADLは自立している。

 

ただ世界がどんどん小さくしぼんでいく。

気力体力という言葉ではもう表現のできない

「すずやかで はかない 無」のような

これまでの父には見たことのない空気を

静かにまとっている。

 

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