10年前の父はいつも傷だらけだった。
食事をとることもままならず
夜寝ていると母に蹴飛ばされる。
文字通り生きた心地がしなかっただろう。
大暴れしている母を病院に入れてから
暮らしの立て直し。
部屋の掃除と変なルールを変え続ける日々。
父はなかなか母が作った
間違った習慣を変えられなかった。
そんなこんなが続く中で
痛み尽くしていた実家を処分。
そして母が穏やかに旅立って
父は今では毎日
あたたかい部屋で文鳥の世話をしながら
のんびりうたた寝をしている。
こんな穏やかな日が来るなんて
当時は想像もしていなかった。
最後の季節が10年前のままだったら
その人生は悔いが残るだろう。
今の日々なら幸せな記憶に入るだろうか。
この10年を振り返りその変化をしみじみと。