思えば始まりは
私の東京の部屋まで
父が一人
車で迎えにきたことだった。
父は本来
一人で行動できるタイプではなく
常に誰かの言いなりだったけど
母が家の中で暴れまわっていた頃
どうしたらいいか分からなくなった父は
たった一人で車を走らせ
私に助けを求めたのだった。
そうあれは父のSOS。
他に頼る人はいなかったし
何より私の気の強さと責任感が
母を抑え込む唯一の可能性だった。
あれから13年が過ぎた。
母は入院→施設→また病院
7年経って父と二人で看取り。
その2年後には父が入院し
在宅に戻ってからは
訪診訪看介護をフル活用
そして現在また入院。
その手配は全部私がやった。
父の食事は毎日作ったし
必要なものはすべて与えた。
家族への接し方さえ分からない父の
見えなかった未来を映し
閉じていた道を開いた。
日々の小さなことから
生き方在り方まで
ありとあらゆる
父のSOSに応えてきた。
そして父はずっと私に着いてきた。
父本人は気付いてないかもしれないけど
まあまあ父を
幸せに導いてこれたんじゃないかなと
ひそかに自画自賛している。