本を読みながらうとうとしていた夜。
突然大きなベルの音で叩き起こされる。
「えっ?朝?違う。目覚ましは?」
混乱しながら起き上がる。
ああこの音は訓練で聞いたことがある・・・
「・・・って ひ、非常ベルが鳴ってる!」
こんな時間に訓練でもない。
ってことは本気のヤツ。
えええ?どうしよう。
廊下を理事会の人たちが走っていくのが聞こえる。
他の住人も飛び出している。
おそるおそるドアを開けてみるが特に異変は感じられない。
プツリと音は止まる。
心拍数はおさまらない。
その部屋の人は何かあったかもしれないが
とりあえず避難するような状況ではなさそう。
ということでスゴスゴと部屋に戻る。
再び布団にもぐって考える。
前からちょっと気にはなっていたんだけど
集合住宅の怖さってあるかもしれない。
自分が正しく暮らしていても
上下左右の部屋で何か起きたら終了。
父の介護でいっぱいいっぱいだったときには
まわりに迷惑をかけないように
ということだけで必死で
逆を考える余裕はなかったけど
頭のどこかにうっすらあったのは確か。
それが今リアルに降りかかる。
ずっと考えてきた通り
いよいよ次に進む時なのかも。