認知症患者の歯みがきは
する方もされる側もいのちがけ。
病院では食後の歯みがきの時間
嫌がる患者さんと看護師・介護師さんとの
壮絶な闘いがくりひろげられていた。
母も同じように毎回大変な騒ぎだった。
お風呂も散髪も嫌いで
触られることに抵抗がある上に
口に長いものを突っ込まれるのは
恐怖でしかないのだろうと思う。
思えば自宅にいた頃から
歯みがきはちょちょっと
かたちだけ歯ブラシで口の中をなぞる
程度のことしかしていなかった。
それでも虫歯がなかったのだから
不思議なもの。
さすがに入院してからは
歯がつけ根から折れて
一本減り 二本減り・・・
治療することもできないし
どうしたものかなと
面会にいくたび母の折れた歯の痕を
見つめていた記憶。