皆で面会に行くと
父はまわりを気にせず動画をとりまくり
私はその無神経をいつも怒った。
でも今になってみると
肉声が残っていることのありがたさを思う。
私は視力が極端に弱いので
視覚情報にはあまり意味がなく
聴覚過敏で音の記憶がとても強い。
そのためか声をテーマにした小説
柳美里さんの三部作の「声」や
映画「半落ち」のテーマ曲
森山直太朗さんの「声」も
特別に心揺さぶられる作品。
かつて大切な人の留守番電話を
いつものようにすぐに消してしまい
それが最後の電話だったことを知って
いまでも後悔が残っている。
どんなかたちでもいいから
その人の声を残しておくと
たぶんずっと後になってから
とても大きな意味を持つと思う。