ふと思った。
父は今 母との暮らしを
再現しているのではないだろうか。
母は病気だったので
家の中で穏やかだったことは一度もなく
いつもピリピリして逃げ回っていた父と私。
叶わなかった母との平穏な暮らし
穏やかな夫婦の老後
そんなものをもしかしたら
今の毎日に見出していたりするのではないだろうか。
以前作品の中で
「ネガをポジに記憶違いして
良い思い出だけを抱えてあちらに旅立てたらいいと思う」
という内容を書いた。
父が私の姿を母と勘違いしたまま
抱えていく記憶が「幸せな最後の数年間」なら
いつかあちらで母に再会したとき
今度はうまくやっていけるかも。