何もないことがないのが介護の日々。
瞬間瞬間張りつめている毎日の中で
たまにふとポッカリと
忘れ物をしたような平穏な時間が
訪れるひとときがある。
例えば映画「半落ち」の中なら
認知症で日々暴れる義父が
明るい午後に庭いじりに夢中になっている間
いつも介護する妻の鼻歌が聞こえる
あのシーンのように。
電話もならない。
メールもこない。
予定もオフになって
本人は眠っている。
日に日にそんな平穏が増えてきて
「介護者は手持無沙汰になります」という時期に入る。
ここで手を放してはならない。
最後までずっと引き受けていく。