葬儀に関わった人の遺影は
すべて自分で作ってきた。
その人がその人らしくて
一番いい表情をしているときを
知っていたからとも言える。
あまり若すぎても違和感があるし
最後の方は撮影するのがはばかられる。
年齢とは関係なく
時系列はどうでもよくて
ああこれはこの人らしいと
自然に思われる一枚。
母の写真はたくさん残ってはいたが
撮影者である父の腕が悪くて
しかも母はいつもご機嫌ななめだったから
自然な笑顔がほとんどなかった。
それでも葬儀社のスタッフにほめられたほど
母らしく柔らかな表情の遺影は
病院で私が撮った一枚だった。
父の写真は大分前から選んである。
母の見舞い写真から切り取った穏やかな一枚と
引越直後のパワーにあふれた一枚。
もう撮るのがはばかられる時期に入ったので
あの二枚のどちらかにするだろうな。