三回忌を過ぎた頃から
母のことが頭から離れるようになってきた。
というか
その頃から父の不調が顕著になってきて
現実があわただしくて
時間がなかったとも言える。
それでも以前なら思い出せば
怒りも悲しみもたっぷりとわき上がり
心が動くことも少なくなかったが
最近ではそれすらも薄れてきた。
母の気配が
どこにもなくなってしまった。
これはすなわち
気持ちの整理がついたのだろうし
母のいない現実にも慣れてきたのだろう。
もしかしたら昔の人はこういう心の動きを
「(死者が)成仏できた」といって納得したのかな
なんて思ったりもする。