母はいつもキレていた。
目の前の小さなことが理由ではあるが
今思うと「ずーっとキレている」ことが
ちょっと不自然ではあった。
今年の正月
父とノンアル日本酒を飲みながら昔話。
そこで聞いてみたかった母との若い頃のこと。
知るにつれ「そりゃあんまりだわ」という数々。
私がポツリと「ひどすぎる」と言うと
父も「かわいそうなことをした」としょんぼり。
原因と結果。
母の怒りはもっと根源的だった。
心にぽっかり空いた穴が
いつまでも埋められなかったんだ。
母の人生を思うとやり切れない。
経済的には困らない程度にはゆたかだったが
心はひとときも満ちることがなかったのだ。