母の症状が派手だったせいで
ほどんど気づかれなかった父のこと。
もしも母を入院させた後に
父を一人暮らしにしてしまっていたら
父は毎日カップラーメンを食べて
持っているお金を全部使い果たし
道端で寝ることになっても
気にしなかっただろう。
母がいたからきちんとしていた家の中が
母がいなくなったことで壊れていくことに
私は恐怖を覚えていた。
父のセルフネグレクトと
自閉症的性格による問題行動は
長いこと家の外には見えることはなく
夫婦げんかで納められていたことを
いやというほど知っていたからだ。
私は家の中の違和感の理由を知りたくて
心理学を学んだのだ。
父との暮らしは不快さに満ちていたが
長い時間をかけて変えてきただけあって
最近は空気を読んだり世間話ができたり
感謝の言葉も散見するまでになってきた。
コミュニケーションがスムーズ。
自閉症も治ってきたね。
最後の季節にはみんな
ちゃんといい人に戻れるのだ。