ヤマアラシのジレンマみたいに
母は関心を向ければ向けるほど
攻撃的に防御するタイプだった。
だからどうしたって
逃げ続け距離をとっていた若い頃。
暮らしてみて分かったが父は正反対。
本人は無意識なんだろうけど
こちらの気持ちが他に向くようになると
必死に引き付けようとするかのように
本当に具合が悪くなって
ときには骨折や入院までになる。
まるで見捨てられ不安を抱えた
若い女の子みたいに揺らぎが大きく
次はどんな具現化が起きるのかと
私は常に予想して準備していた。
いつも視界に あるいは意識の中に
抱えていなくては気が気じゃなかった。
母のように身に迫る危険はなかったが
真綿で首を絞められるような
父との時間の方が実は大変だったなぁと
改めて思い返したりしている。