あたたかくなった街中で
においに気付くことが増えてきた。
高齢者で男女問わず
強烈な尿臭をまとっている人。
認知症なんだろうか。
一人暮らしなんだろうか。
お風呂に何日入っていないのか。
自分で気付かないのは
鼻がきかなくなっているか
家の中も同じ臭いなんだろう。
たぶん誰もそばにいないから
言ってくれる人もいないんだろう。
そしてたいていそういう方は
気候に合わない服装をしている。
汗ばむ陽気なのに
セーターにコート。
そんな状態なのに
介護サービスも受けてないんだな。
もっとも家族が気にかけなければ
本人が動くはずもなく。
高齢者がもらすのは当然。
それをケアする人がいるかどうかが
臭いで分かってしまうのだ。
後見の現場でも研修でも
慣れた臭いではあるけれど
街中で突然遭遇する臭いは
誰からもケアされていない孤独が
ダイレクトに伝わってくるかのようで
胸がいたむ。