人生の最期の季節には
その人の良い所だけが
濃縮して出てくるというのが持論。
しかし父はそうでもないかなと思っていた。
でもこの頃は
かつてないほどに素直で
自省も出るし
ありがとうも言えるようになり
ときどき涙を流すこともある。
かつての父からは
想像できないほどの奇跡である。
このあたりの機微は
私の中でまだまだ抱えて反芻して
熟したころに長い作品にしたい。
そう思えるような
親子として 家族として
あたたかくこころ触れ合うシーンが
この頃増えてきた。
ここをずっと目指してきた。
でも父はそこまで変わらないと思っていたから
けっこう驚いている。
ともあれ間に合ってよかった。
特にこの十年はいろいろあって
一緒に山を越え 対峙もしたが
父は今が一番「いい人」。
きっとそう長くは続かないけれど。