こころ遊多加な介護へ

暮らしといのち

【本】ネガティブ・ケイパビリティ

ネガティブ・ケイパビリティ

~答えの出ない事態に耐える力~

帚木蓬生 朝日選書 1300円+税

 

 

我々の側では割と基本のこの考え方が

最近スポットを浴びているのだという。

閉鎖病棟」「風花病棟」等小説も数多く

執筆されている精神科医帚木先生の一冊。

 

シェークスピア紫式部を発端に

詩や文学の表現と精神医学を

つなげているすばらしさ。

 

「人」にとって大切なものは

無駄や遊びや余白やのりしろの中にこそある。

それらをコスパで切り捨てる世界と

デジタルで極まってきたその世界から

はじき出されようとしているものが

どれだけ人の心を理解するのに大切なのか

ということを分かりやすく書かれている。

 

読んだ後の「答え合わせ」感。

 

ずっとこころといのちについて

言葉で文章でその隙間の人々の想いについて

考え書き連ねてきた自分が探していた

「正解」はここにあった。

 

答えを出さないという答え。

分からないことを分からないまま引き受ける。

文学や芸術や音楽との共通項。

介護者の在り方も全く同じ。

 

個人的には小説を読まないって

言い切る人の薄っぺらさが苦手だが

その根拠も明確に言葉になった。

 

もっとも脳機能・脳科学の世界では

前頭前野セロトニン神経・オキシトシン

言葉や表現は違えど同じ道について

書かれている本も多い。

 

ただデジタル依存やスマホネイティブの人は

「すぐに」「急いで」「答えを出す」

ように育てられてしまったから

あえてこの本が珍しい考え方として

注目されているのかしらね。

 

 

 

装丁がすばらしい。

ykaigo.hatenablog.com