実家で私の部屋は2階にあって
布団を敷いて耳をつけると階下で
母が夜中じゅうずっとしゃべり続けているのが聞こえた。
私の地獄耳は母の行動を察知するために進歩した。
一人でいられない母はいつも暇を持て余していて
学生時代に2階で私が勉強していても
「な~にしているの?」と言いながら
階段をのぼって来るのだった。
私だって勉強ばっかりしているわけじゃないから(笑
母の足音が聞こえてくると
小説や漫画本を急いで隠し参考書を広げて
苦虫を噛み潰したような顔を作るのだった。
「な~にしているの?」という母の声と
トントンと階段をのぼる足音は
今でも鮮明に覚えている。
縮み上がる背中と忙しく言い訳を探す頭の中。
この条件反射はそろそろ忘れたいところ。