父はスポーツを見るのが好きで
中でもプロ野球は寝る間を惜しんで
せっせと観ている。
それはいいのだが
大声で独り言を言うので困る。
チームが調子悪いとブツブツ
負けが込んでくるとヒートアップ
罵詈雑言とはこのことか!
テレビの音はイヤホンを
つけているから聞こえない分
私の耳には延々と
ネガティブな父のつぶやきだけが聞こえる。
野球やら相撲のみならず
ワールドカップやオリンピックでも同じ。
父はもともとギャンブラーだからな。
一方 私はスポーツが嫌い。
ドーパミンを出す行為が苦手なのと
勝ち負けや優劣や順位を決める闘いなんて
私の人生にはあり得ない感覚だから。
これ私だけかと思っていたら
落語家で全く同じことを
まくらでしゃべっている方がいた。
ああ同じ感性の人はこの世界にいるのかと
初めて味方を見つけてホッとする。
どうやらプロ野球がスタートしたようで
父は嬉々として画面にかぶりつき
私には憂鬱な日々が始まる。